本日2015年10月9日金曜ロードSHOW30周年記念として『思い出のマーニー』が地上波初登場します。
僕はこの映画は公開してすぐに劇場で鑑賞しました。やれつまらないだの、やっぱりぱやお先生じゃないとだの、色々言われることもあるけど、『ジブリだから』という理由でやっぱり見てしまう僕です。
僕にとってジブリはおかんに作ってもらった卵焼きみたいな感じ。多少歳を取ってもやっぱり食べたら『美味しいな』って思っちゃう。出来が悪くても本質は変わってないって思っちゃうんだよね。まぁ賛否両論だろうし争う気も毛頭ないですが、好きなもんは好きです。
さてさて、今回は『思い出のマーニー』と『色』について書いていきたいと思います。ネタバレ要素も有りますのでご了承くださいませ。
作品全体を通しての暗めの配色
https://youtu.be/lO79qkKDUNY
まずは上の公式予告動画をご覧ください。
なにか『違和感』を感じませんか?なんとなく全体の雰囲気が暗くて、配色もなんだかもやもやとした色使い。今までのジブリ作品であれば、雲ひとつない青空や明るめの配色がかなり多い気がするんですよ。
思い出のマーニーのモデルとなった舞台は北海道の釧路湿原だそうです。霧が立ち込める湿原、雲が多くどんよりとした空は今までのジブリ作品ではあまり例がないのではないかなと。
この色彩表現が作品の最後に向けて意味を持っていくんだと個人的には感じました。
空の色と主人公『杏奈』の心
主人公杏奈は内気で無気力な心を閉ざした少女として描かれています。喘息の治療という事で北海道に越してきますが、僕の中では心の病のリハビリも兼ねているんでしょうね。
北海道に来てからも杏奈は友達も作ろうとせずいつも1人でいます。そして杏奈の気持ちを反映しているのか空は雲が多くどんよりとしている。マーニーと出会い、様々な経験を通して杏奈も成長し、次第に空が晴れていくように杏奈の心も開いていく。ひゃあ、感動。
空の色が杏奈の心を表している。
そう思って作品を見てみると、物語後半の空からパッと光が差し込むシーンが感動的です。今までのどんよりとした色使いがココに来て効いてくるわけです。
実際に公式のコメントでも
杏奈の心を反映させた空でなければいけない
マーニーとの出会いを通しての成長(心の成長)が青空を取り戻していくという表現だったんですね。
でも、実は空の色だけじゃなく、もう一つ杏奈の心の変化を表す『色使い』があったのにお気づきですか?
杏奈のスケッチブック
個人的には物語のキモといってもいい杏奈のスケッチブック。作中で何度も登場してきます。冒頭の絵、母 頼子に送る手紙、そしてマーニーのスケッチも全てモノクロ。
頼子がプレゼントしてくれた色鉛筆も使わない杏奈。理由は『母が養育費を受け取って自分を育ててくれていたという事実にショックを受け、本当の愛というものに疑問を感じているから』なんでしょうね。
感謝はしているんだろうけど、疑いたくなる微妙な心情を白黒の絵で上手いこと表現してます。
なぜなら物語終盤に送った頼子への手紙やマーニーのスケッチブックには今まで一切使っていなかった『色鉛筆』が使われているからです。
あれこそ『母の愛を受け入れた何よりの証拠』だと思うんですよね。いやはや見事ですwこんなオシャレな演出できる脳が羨ましい。
百合とかミステリーとか言われてるけど…
作品見た人は『百合じゃん』『え?マーニーお化けなの?』『マーニーの正体を突き止めるミステリー作品』とか聞きますけど、正直物語の色んな所にある伏線をしった後、改めて見ると全然違った作品になりますよね。
『女の子同士』じゃなくて『祖母が孫に話しかける』ような愛にあふれた行為です。人によっては盛り上がりに欠ける退屈な作品という人も多いかもしれませんけど、見た後の清々しい気持ちは僕結構すきでした。
杏奈の北海道での友達に頼子を『母です』と紹介するシーンとかじわーーーってなります。やっぱ映画は感情移入して見るに限るぜ。
思い出のマーニーは『二度楽しめる映画』元旦の朝に洗いたてパンツを履いた時のようなスガスガしさを味わいたい人にオススメっす。
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原作もどうぞ。